「蛙おどり」は、「惣田楽」と「いずまい」の二種類が奉納される。「惣田楽」は締太鼓三名とビンザサラ五名で
演じられる。最初は前屈みでビンザサラを腰の下で上下にふる「「やすみ」、ついでビンザサラを肩の上で花のように
開く「こつ」、最後はビンザサラを腰の前で振り上げる「しこう」を三度ずつ繰り返し、
「へーツ、へーツ」という掛け声が夜の神社にコダマする。
続いて行われる「いずまい」は締太鼓三名と踊り子三名で行われ、締太鼓に合わせて踊り子が一人ずつ演技を
行う。最初は小さく、ついで中くらい、最後は大きく両手を広げる所作を行い、最後は三角形に飛び跳ねる。
これを一つの流れとして三度繰り返し、三人三様に演じられるのである。演技を見ていると田植えから稔りまでの
田の様子が彷彿され、収穫を祝う鶴が舞い降りたかのように見える。演者が舞台を三角に飛び跳ねる姿は、この神舞が
「蛙おどり」と呼ばれることを納得させるものだ。
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「へーツ、へーツ」という掛け声が境内にコダマする…惣田楽
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かつて、蛙おどりは南座、中座、北座という宮座が主体となって、各座に加入したばかりの末座の八人が踊り子として
奉納されていた。しかし、昭和四十一年(1966)より「住吉神社神舞奉仕会」が、さらに昭和五十四年からは
「住吉神社神舞保存会」によって継承されて現在に至っている。その間の昭和六十一年には伝統文化の継承と保存、その進行と普及に貢献した
として「兵庫県ともしびの賞」を受賞、平成十五年には兵庫県の無形民俗文化財に指定された。
なんとも素朴な神舞だが、見ていると知らず気持が豊かになっている…、不思議な力を持った芸能である。ぜひ、
その目と身体で体感されることをお奨めしたい。
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【撮影:2009年10月3日】
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