篠山市の北方に屏風のように聳え立つ多紀連山、かつて
修験道の山として隆盛を誇った。最盛期は主峰三嶽中腹の
大岳寺をはじめとして多くの寺院が立ち並び、二万人を越える修験者が山を往来したという。
多紀連山を修行の場とする修験者たちは、東方の筱見四十八滝で身を清め、
八ヶ尾山の大日堂に参じてのち小金ヶ嶽、三嶽、そして西ヶ嶽へと歩いていった。
筱見から西へ向かう修験の道、その最初のピークになるのが峠山である。
峠山への道は四十八滝のキャンプ場に案内板があり、四十八滝を巡って行くコースと
キャンプ場のトイレ左手より整備されたコースとがある。
いずれのコースも二万五千分の一地図に破線でルートが明記されており、
ポイントに立てられた道標に従って行けば尾根筋で合流することになる。
合流地点から峠山へ続く道は明快で、ほとんど展望はないが心地よい尾根歩きが楽しめる。
ひたすら登っていくと難なく峠山の頂上へと到着、
めざす三角点は広場のようになった山頂の真ん中に埋まっていた。
頂上は北側は針葉樹の植林帯、南側は若葉も爽やかな雑木林で、見晴はまったく望めなかった。
頂上からは西方に向かって明確な道が続いており、すぐに擬木階段を延々と下っていくことになる。
やがて地図上の十字路へ下り付いたが、驚いたことに山を分断する林道があらわれた。
ネットで調べた峠山登山記などにはのどかな十字路の
写真が掲載されていたが、まるで狐に包まれたかのような光景である。
林道の向うに小金ヶ嶽へと通じる山道を確認できたが、この土木工事にはどのような意義があるのだろう…?
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失われてしまった風景を想像しながら、無機質に続く林道を上筱見方面へと下っていった。
かつての分岐点の風景
(風雲流水記さんより)
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