西寺山は篠山市の南西に位置する山で、ちょうど今田小学校の北方にそびえている。
今田薬師温泉として親しまれている「ぬくもりの郷」からも、
デカンショ街道(国道372号線)を隔てて北東方面にその姿を見ることができる。
国土地理院発行の二万五千分の一地図を見る限り明確な道はないが、
まず頂上より南方に伸びる尾根筋を目指すことにした。
今田小学校裏の砂防堰堤にある広場に車を停め、炭焼小屋横の道を進んでいくと、
「西寺山山頂」と印刷された紙片も所々に付けられている。
見れば今田小学校の児童が付けたもので、ハイキング登山が行なわれているようだ。
これなら一安心と思って登っていくと、やがて山道はガレ場の状況を呈してきた。
ついにはまったくの岩場となってしまったが、西側の山腹にに山上へと続く
踏み跡のような山道を発見、急坂を這うように登っていくと
「西寺山山頂」と書かれた紙片が所々に付けてある。
山道は迷うことはないが滑り落ちそうな急斜面で、ときには木につかまりつつ、
どうにか尾根先にたどり着くことができた。
尾根筋は樹木や岩に遮られるものの歩きやすい雑木の道で、
所々から眼下に今田の街並み、三田市との市境をなす虚空蔵山までが遠望できる。
おりから(五月はじめ)満開のツツジの花を楽しみながら目標の
西寺山山頂に到着、丸く刈り込まれた一角にポツネンと三角点の石標があった。
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西寺山から北方の尾根をたどればトンガリ山、妙見堂・薬師堂を経て
四斗谷から上小野原方面へと下っていく。魅力的なコースだが、
車の回収を考えて東南尾根を今田小学校方面へと下った。下り尾根は
途中で道筋がなくなり、急斜面を谷筋へと下っていくと、山麓から
登ってくる道があらわれた。こちらも登りの山道同様にガレ場状態だが、
所々に残る石積がかつてよく手入れされた山道であったことを示していた。
昨今、クマやイノシシの里への出没が問題になっているが、
荒れ果てた山道が、はからずも里山の崩壊を実感させるのであった。
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