岩谷山は丹波修験道の山として知られる三岳(多紀連山)のうち西ヶ嶽より南西に伸びる尾根筋にあり、
天台宗の古刹五台山東窟寺の後方に聳える山である。
東窟寺は大化年間(645〜50)に法道仙人が開創したと伝えられ、山号の「五台山」は
岩谷山の中腹にある五つの大岩石に拠ったといわれる。
かつて東窟寺は三岳修験道と共に栄え、盛時には四十九院七堂伽藍が甍を誇っていたが、 明智光秀の丹波攻めの兵火によってことごとく焼失してしまった。 山腹にある岩谷(岩屋)観音へ通じる山道を登っていくと、 阿弥陀堂跡、薬師堂跡、般若心経塔、鐘楼跡など、かつての伽藍の跡が連なっている。 観音堂からは遠く篠山市街が遠望され、眼前には山号由来の大岩石が屹立している。 お堂の背後にある大岩の洞窟内には、微笑みを浮かべたようにみえる法道仙人像が祀られている。 岩谷山へは観音堂の傍らに道標があり、薄い踏み跡が山腹に散在する岩石群の間を縫うように山上へ続いている。 道は途中で途切れてしまったが迷うことなく尾根へと到達、尾根筋の大岩からは篠山市街が眺望できる。 |
三角点のある山頂続く尾根道は気持ちのいい雑木の林で、木の間越しに篠山の街が見え隠れし、
のどかな尾根歩きが楽しめる。三角点は山上の平坦地の一角にあり、天気のよい日なら格好の休憩ポイントだ。
下山は北方の尾根筋をたどり、西紀の坂本と篠山の藤岡奥を結ぶ古い峠道を藤岡方面へと下ったが、
道を誤ったようで急斜面を激下りする結果となった。北尾根の要所に三嶽への道標が立っているが、
尾根道はお世辞にも手入れが行き届いていない。とはいえ、岩谷山から西ケ嶽から三嶽へまでの尾根道は
かつての修験者の気分を味わえるコースでもある。体力に自信のある方は、一度、チャレンジされてはいかがだろう。
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