山崎氏 　山崎は「山の先（前）」で、山裾が突き出た地形から生まれた地名で、そこから名字も生まれた。 山埼、山前とも書かれるが字義は同じである。 常陸茨城郡、越中新川郡、能登鹿島郡、紀伊那賀郡、肥後国益城郡など全国各地に山崎の地名があり、 そこから山�ｱの名字が発生した。県別にみると高知県で堂々の一位を占めるほか、長野県で二位・富山県で三位・ 鳥取県で四位と、全国各地に山�ｱ姓が広まっている。東日本では「ヤマザキ」と濁るが、 西日本では「ヤマサキ」と呼ぶことが多い。 　古いところでは、和泉国に古代豪族大伴氏族の山前連があり、貞元二年（977）、その子孫と思われる山前連義忠が 伴宿禰姓を賜っている。武家の山崎氏では、宇多源氏佐々木氏流が有名である。佐々木神主系の分流といい、系図によれば佐々木源四郎大夫行家の子六郎憲家が佐々木を改めて山崎を称したことになっている。 『寛政重修諸家譜』には、「相模国山崎に住し、のち近江国に赴き、犬上郡山崎の城に住し代々佐々木氏に属した」とあり、相模国山崎は鎌倉郡内山内荘山崎郷に該当するようだ。代々、佐々木六角氏の被官であったが、戦国時代の山崎片家は織田信長に仕え、次の家盛は豊臣秀吉、その子家治は徳川家康に仕えて讃岐国丸亀五万三千石の大名に出世した。佐々木氏系からは隠岐氏から分かれた山�ｱ氏、佐々木秀綱の五男山�ｱ六郎重清に始まる山�ｱ氏などがある。いずれの山�ｱ氏も「四つ目結」を家紋に用いているのが特徴である。 ■佐々木系山�ｱ氏参考系図 　近江発祥の山�ｱ氏には清和源氏三上氏族の分流もある。三上氏は八幡太郎義家の弟加茂次郎義綱の流れで、義綱の子盛重が山�ｱ氏を称している。また、清和源氏武田氏から分かれた浅利義成を祖とする山�ｱ氏も近江出身と伝えられる。 　山城国乙訓郡山�ｱ郷からは橘氏族の山�ｱ氏、村上源氏赤松氏から分かれた山崎氏が出た。赤松系山�ｱ氏は『山崎家譜』によれば、赤松則村（円心）の子氏範の孫、肥前守某が山城国山崎邑落居し、その邑名をもって姓にしたと伝える。子孫は越前朝倉家に仕えて四万石を領する大身であったが、朝倉氏滅亡後は加賀前田家に仕え重臣となっている。 　その他、武蔵国からは武蔵七党横山党の野原三郎義兼の子野太郎兼光を祖とする山�ｱ氏、猪俣党の藤田能兼の子国氏を祖とする山崎氏が出て関東各地に広まった。藤原氏系では、潮田正重の子正勝が外祖父山�ｱ氏を名乗り江戸幕臣であった。江戸時代の朱子学者として知られる山崎闇斎は、赤松氏流別所氏といい播磨山崎から発したという。他にも薩摩渋谷氏足、肥後菊池氏族、美作・周防・土佐にも中世豪族の山崎氏がある。 　山�ｱ氏の家紋は、佐々木氏流の多くが四つ目結を用いるが隠岐氏系は輪違い、橘氏系は橘・丸に三文字。赤松氏流山�ｱ氏は宗家が小槌、庶流では蛇の目、檜扇を用いた。その他、笹竜胆、亀甲に花菱、揚羽蝶、木瓜などの家紋が知られる。 ちなみに、目結紋を用いる山�ｱさんは、まず近江佐々木氏系とみて間違いないだろう。 ●同苗・戦国武将の情報にリンク 近江山�ｱ氏 越前山�ｱ氏 ●左から／丸に笹竜胆・亀甲に四つ目結・亀甲に花菱・九枚笹・木瓜に四つ目結

応仁の乱当時の守護大名から国人層に至るまでの諸家の家紋 二百六十ほどが記録された武家家紋の研究には欠かせない史料… 戦場を疾駆する戦国武将の旗印には、家の紋が据えられていた。 その紋には、どのような由来があったのだろうか…!?。 2010年の大河ドラマは「龍馬伝」である。龍馬をはじめとした幕末の志士たちの家紋と逸話を探る…。