●山の辺の道
●柳生街道
●いかるがの里
●西の京
●飛鳥古京
●吉野山
●十津川村
●女人高野--室生
●山の辺の道
一番「やまとのくに」らしいところではないでしょうか。天理教のメッカ天理駅(JR、近鉄)を下車して、石上神宮の方へ
歩いて行きます。古代、蘇我氏と覇を競った物部氏の支族が、石上の神をまつっていたのが石上神宮としていま
に残っているとか。国宝の七支刀が有名ですね。ここを起点としてみちは、のどかな田園地帯を南北に三輪明神
まで続いていきます。しばらく歩くと継体天皇の妃だった手白香王女の古墳が左手に見えてきます。そして、
数少ない休憩ポイント長岳寺を通って、祟神天皇陵、景行天皇陵と古代の王の古墳をながめながら歩いている
と、いつのまにか、遥か古代に身を置いているような錯覚にとらわわれるてくるから不思議。さらに道は檜原神社、狭井神社、
三輪明神(大神神社)へと続いていきます。むかし出雲族が神として崇めた三輪山をご神体とした日本最古の神社といわれてい
る三輪神社、酒の神さんとしても有名ですね。酒屋さんの店先にぶら下がっている杉玉を見たことがあるでしょ?あれは
ここでつくられているんですよ。山の辺の道の終点にふさわしい、老杉におおわれた神秘的な神社です。山の辺の道を
歩いたのはもう20年前ですが、もう一度歩いてみたい所ですねー。
●柳生街道
近鉄奈良駅から商店街を抜けて奈良公園へ。猿沢の池、春日大社、新薬師寺と歩いていくと石畳のみち「滝坂の
道」にでます。柳生街道の起点です。朝日観音、夕日観音を見ながら歩いていると、まるで昔の剣豪の気分ですね。
柳生の武芸者が腕試しに切ったといわれる首切り地蔵、仏法修行の道場だった地獄谷聖人窟を抜けると、「峠の
茶屋」です。ここには昔、武芸者が呑み代のカタに置いていったとされる鉄砲や鎗が置いてあります。このあたり
には誓多林(setarin)、大慈山(daizisen)などインドの聖地からとった地名が残っています。なにやら奥ゆかしいじゃーありませんか。柳生街道を歩いたのは真夏だったんですが、汗とともに、蝉の声、鬱蒼とした木々の緑がなんとも心にしみたのを思い
出します。ここから道は、国宝の神殿が残る忍辱山(ninnikusen)円成寺、夜支布山口神社、南明寺、ほうそう地蔵
へと続いて、柳生の里に入っていきます。柳生のさとに入って、まず目をひくのが家老屋敷の石垣と芳徳寺の甍ですね。
昔NHKの大河ドラマで「春の坂道」ってやってたんですが、見ました?あの当時、柳生の地はたくさんの観光客が押し
寄せたそうですが、今は静かな山のさとです。後醍醐天皇が倒幕の兵をあげた笠置から登ってくる道もありますが、
滝坂の道をのんびりと(約4時間ばかりの道程ですが)歩いてみてほしいですね。
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●いかるがの里
JR大和路線の快速に乗って大阪から約45分で「法隆寺駅」、そのひとつ先が「大和小泉駅」。このふたつの駅がいかるがの里の
いわば玄関にあたるところですね。大和小泉から歩いてみました。改札を出て、まっすぐ富雄川の方へ。橋をわたって
右に折れます。しばらく歩くと、茶道石州流の祖、片桐石州が建てた「慈光院」に出ます。ここの書院式の庭は必見です。
片桐さんのご子孫の方も近くに住んではります。慈光院からは、飛鳥時代の三重塔が残る「法起寺」、飛鳥仏がおわす
「法輪寺」、山吹の花で有名な尼寺「中宮寺」を経て「法隆寺」へと、ぶらぶらとのんびり約2〜3時間の道のり
です。四季を通していいところですが、やっぱり菜の花やれんげの花が咲く春が一番やないかなーと思います。た
んぼの畔道を歩くと最高ですねー。時間があれば、紫陽花寺「矢田寺」から開基が白鳳時代とされる「東明寺」、
矢田丘陵を経て「松尾寺」へというのもおすすめですね。このコースを歩くときはハイヒールとかビジネスシューズ
はやめといた方がいいですよ。ちょっとした山歩きになりますから。でも矢田丘陵の国見展望台から見る大和平野
は絶景です。ぜひチャレンジしてみてください。
●西の京
唐招提寺、薬師寺があるところですね。井上靖さんの小説「天平の甍」であまりに有名な、鑑真和上の日本への渡
海のご苦労話。西暦754年に東大寺に到着するまでの12年間、前後5回に及ぶ航海の失敗を乗りこえて奈良の都に着いた
ときには和上の両目は失明していたとか。読みました?「天平の甍」。この日本仏教の恩人たる鑑真和上が、天武天皇の皇子
新田部親王の旧邸跡を賜って開いたのが「唐招提寺」です。ここからすぐ南に位置するのが「薬師寺」。ちょっと
昔に「心」とかいった本を出版したり、TVのワイドショーでよく見かけた高田好胤さんが管長をやってはりました。
"凍れる音楽"と称される東塔があまりに有名ですね。この東塔と対をなす西塔が昭和56年、450余年ぶりに再建されました。ふ
たつの塔が並び立つ様は荘厳そのものですね。でもよく見ると西塔の方がちょっと高いんですね。この再建をてがけたのが、宮
大工として名高い西岡常一さん。いわく「1000年たてば東塔と同じ高さになります」----至言です。近鉄「尼が辻駅」
か「西の京駅」が便利ですよ。ここにきたなら、平城京跡にも寄っいきたいですね。現在、公園としても整備されていて結構楽しめる
んではないでしょうか。もっとも奈良時代にあっては唐招提寺も薬師寺も、平城京の一角だったわけなんですが。
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●飛鳥古京
古代史好きのひとなら、一度ならず行かれたんじゃーないでしょうか。ここは駅前でレンタサイクルを借りると便利。
蘇我氏が建てた日本最古の寺といわれる「飛鳥寺」、「飛鳥浄御原宮跡」、日本最初の神社といわれる「飛鳥坐神社」へと
サイクリング。ここ飛鳥は不思議な石造物が多いことでも有名ですね。「酒船石」「猿石」「鬼のまないた」そして蘇我
入鹿の古墳ともいわれる「石舞台」等が在りますねー。手塚治虫さんの「三つ目が通る」で酒船石が取り上げられてま
したね。ここ飛鳥には、あの「高松塚古墳」があります。発見された当時、小学生だったんですが「見にいきたーい!」と思った
ことを思い出します。実際見てみて「よくぞ残っていたものだなー」っていうのが実感でした。飛鳥は古代の政治の中心
だった所、教科書で習った「大化の改新」や天武天皇、持統天皇に関することどもに思いをはせればまた一味違った(?)
飛鳥が感じられるのではないでしょうか。飛鳥まできたら、多武峰がすぐ近く。ぜひ談山神社にも行ってみて下さい。特に
、紅葉の頃は絶景です。さらに、司馬遼太郎の「おー大砲」を読んだ方なら、その舞台となった高取城もすぐ近くですから、行かれてみてはいかがでしょうか。
●吉野山
桜の名所吉野。下千本、中千本、奥千本と1ケ月近くにわたって桜が楽しめる所。豊臣秀吉も花見に来たりしています。
近鉄吉野駅を降りて、ロープウェーに乗り換えて「山頂駅」へ。聖武天皇が奈良大仏の余銅で造った「銅の鳥居」を抜け
て、まず目につくのが金峰山寺の本堂「蔵王堂」。そこから、山道を登っていけば、源義経が潜んだ「吉水神社」、玉依姫
をまつる「水分神社」、またまた義経ゆかりの「金峰神社」、そして「西行庵」へと続いていきます。また、吉野は南朝の後醍醐
天皇が行在所をいとなんだところ。ゆかりの「南朝妙法殿」、南朝方の武将-楠正行が出陣にさいして辞世のうたを扉に残した「如意輪
寺」等もあります。小生が行ったのは桜の盛りも終わり、葉桜の緑が鮮やかな頃だったんですが、それはそれで充分に堪能出来ました
。行くなら桜の頃なんでしょうが、半端じゃーない人の山だそうですから。それでもよろしければ、どうぞ。
●十津川村
奈良県五条市方面から車で登っていくわけなんですが、山また山のすんごい所です。運転になれない方はきっと大変やと
思います。なんせ片側は山、片側は崖といった道をえんえん走って行くわけですから。でも、行って後悔はしないところ。
日本一の長さ、怖さも日本一(?)の「谷瀬の吊り橋」、渓谷をながめながらユッタリ湯に浸れる「温泉地温泉」が在ります。
この地の住人は昔「十津川郷士」と称され、明治維新の際にも沢山の志士がでています。それに関わる記念館もありますから
勉強してみたらいかが?さらに「玉置神社」が在ります。1600年前の創建で、熊野三山の奥の院とされる玉置山山上にある
神社です。ここへの道も怖いですよー。ここから十津川の反対側へ降りると、瀞八丁の最奥に出るんですねー。ここの水際
が凄かった。なんとすぐ向こうの水の色が深緑なんですね。いわゆる水を張った摺鉢の縁にいる感じとでもいうんでしょ
うか。北海道に新十津川ってあるでしょ。あれって、ここ十津川が明治の頃の台風で壊滅的な被害を受けたときに、ふる
さとを捨てて北海道に移住したみなさんがつくられた村だそうです。また、ここ十津川は玉置姓の発祥地にもなるそうで、玉置さんが
沢山住んでいらっしゃいます。どうですか全国のタマキさん、一度行かれてみては。
●女人高野--室生
近鉄室生口で降りて、バスが便利かも。でも昔の道をたどって山越えっていうのもいいですよ。室生川の奇岩をながめながら
テクテクと山を越えると室生のむらが見えてきます。そのときの、どこかで見たような懐かしい風景に出会ったような感動は捨て難いものがありました。室生川を渡って山門へ
。ここ「室生寺」は石楠花が有名で、開花シーズンには全山が石楠花で埋まるそうですが、そのシーズンに行ったことはありま
せん。人波を避けようと思うとどうしてもシーズンオフになってしまう、っていうのは仕方ないことなんでしょうねー。女人高野
と称されるこの室生寺の境内を歩いてみると、たしかに女性的なやさしさに包まれる-そんな感じがありました。
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【近畿】
●1996/11/10●
お便りを待ってます。
toyo@butaman.or.jp