低山歩こう記-八上


高城山に登る

・2009年11月24日


山上の八上城址より雲海に浮かぶ松尾山・白髪岳を見る

丹波篠山のシンボルともいえる高城山、「丹波富士」とも呼ばれるその秀麗な姿は篠山のあらゆる所より見ることができる。山上に残る八上城址は丹波の戦国大名として京にまで威勢を振るった波多野氏の居城で、その規模の大きさ、歴史的意義から国指定史跡となっている。いまも、高城山の周囲には波多野氏の支城群、八上城を兵糧攻めにした明智方の付城群が残り、明智光秀と波多野氏の攻防の歴史をいまに伝えている。
高城山へは北東の野々垣、西方の殿町、北側を走るデカンショ街道に面した八上上からなど様々なコースがある。往時の大手は野々垣方面と思われるが、八上上の春日神社の傍らに八上城址の碑が立てられ、春日神社を起点として北西尾根の曲輪群を辿るようにして登山道が整備されている。山上には本丸を中心に曲輪群がよく残り、北に多紀連山、西に松尾山・白髪岳、東には弥十郎ヶ嶽など篠山盆地を取り巻く山々を一望できるパノラマ風景が広がる。


春日神社 ・春日神社のお堂 ・登り口の主膳屋敷跡 ・前田主膳の供養塔 ・霧の中を山上へ

中の壇 ・シットリと濡れた落ち葉の道 ・上の茶屋丸 ・尾根筋の曲輪跡 ・右衛門丸の石垣


右衛門丸から霧に浮かぶ多紀連山を遠望 ・三の丸跡 ・二の丸跡虎口-本丸へ ・本丸に登る ・本丸北東部に残る石垣


本丸東方の虎口 ・本丸から霧に沈む篠山市街を見る ・本丸と帯曲輪 ・蔵屋敷跡と土塁 ・池東上の番所跡



茶屋の壇切岸と武者走り ・馬駆け場跡 ・芥丸から多紀連山を見る ・霧の本丸方面を遠望 ・霧に浮かぶ弥十郎ヶ嶽


八上城のある高城山に登るのは今回で四度目となるが、丹波名物の朝霧がたゆとう中を登るのは格別なものがあった。 ボンヤリと濡れたように霞む春日神社から主膳屋敷址、散り敷いた落ち葉は色褪せることなく未だ秋の気配を残している。 しっとりと濡れた空気、物音ひとつ聞えない閑かな道、登るほどに篠山盆地は雲海に沈んでゆく。 多紀連山をはじめ白髪岳、松尾山、弥十郎ヶ嶽などの 盆地を取り巻く山々の姿は、まるで湖を囲む岸辺のように見える。太古、篠山盆地は湖であったころの姿が 目の前に広がっているかのようで、何ともいえないユッタリとした時間の流れを感じさせてくれる光景である。
雲海は篠山盆地だけではなく、遠く氷上方面にまで広がっている。八上城に拠った波多野氏は、 この雲海が覆い尽くす限りの地を我が版図として治めたい…そんな野望を研ぎ澄ましたであろうか。 城址を包みんで広がる一面の雲海は、八上城址の秘めた魔力か、思わず戦国大名の気分に浸してくれる不思議な魅力があった。


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八上城址に登る  53次・八上城跡