ドッシリとした存在感をみせる黒石 ・ 子をあやしているような狛犬
黒石ダムに発して今田西部を南流する黒石川は、やがて東条川と名を変えて大川瀬ダムに流れ込んでいく。
その流域には、南から木津、市原、本荘、そして黒石と住吉神社が連なるようにして鎮座している。
今田は摂津の住吉大社の荘園であったことから、小野原に住吉神社が勧請された。
のちに今田各地に分祀され、住吉神社は今田一帯に広がったのである。
黒石の住吉神社は、播磨と丹波の国を扼する西光寺山の東山麓を流れる黒石川東方の山麓に鎮座している。真新しい鳥居をくぐり、
神寂びた雰囲気を漂わせる石段を踏みしめて境内へと進むと社殿は西光寺山を望むかのように西面し、
境内には岩神を祀るという黒石がドッシリと鎮まっている。拝殿より本殿を拝したのち、フッと拝殿の
板間をみると何か祭礼でもあったのか座布団・茶碗などが散乱している。神様に対していささかザックバランに
過ぎる感もしたが、神社が村の生活に溶け込んでいることがうかがわれ微笑ましくもあった。
ところで、木津・本荘の住吉神社は、黒石神社から分祀されたものといわれている。本荘の住吉神社は
御霊代(みたましろ)を「面」に依らせたことから「面の宮」、木津の住吉神社は「笠」に依らせた
ことから「笠の宮」とも呼ばれる。神様は実体のない存在だけに分祀するとき、本荘にしても、
木津にしても、どのようにして運べばよいのか大真面目に頭をひねったことであろうと想像すると、
なんとも愉快な気がしてくる。
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