約一億年前、篠山市一帯に分布する古生層の山の一部が陥没、淡水湖となった。以後、永く湖の時代がつづいたことは、巻き貝、二枚貝や植物の化石が発掘され、も貝田、浜谷、網掛などの地名が残っていることからも推察できる。かつての多紀郡の地名も、いたるところに断崖があり滝が流れ落ちていたことに由来するといわれる。いまの篠山市が、むかし湖の底にあったことを想像するのは難しいが、王地山公園の南麓の本経寺裏断崖に湖であった時代の名残が見られる。
湖に堆積していった篠山層群と名付けられた地層が隆起したことで、かつて岸にうち寄せたさざ波の跡や、貝類の這い跡がわれわれの目にふれるようになった。断崖斜面は崩れ落ちるかと思われる状況で、かすかにさざ波の跡(漣痕)?、あるいは貝の這った跡?と見てとれる痕跡が残っている。
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