篠山盆地は北方の多紀連山をはじめ、西方に松尾山・白髪岳、南方に愛宕山・槙ヶ峰、 そして東南方に弥十郎ヶ嶽などの山々が取り巻いている。それらの山々は信仰の地として多くの僧坊が建立され、 衆生の崇敬を集め、修験者が山を往来していた。 弥十郎ヶ嶽東側の山麓にあったという飛蔵山清水寺は、七間四方の大日堂や塔跡のある七堂伽藍の大寺で あったことが江戸時代の記録に残されている。そして、西山麓の曽地に四十九院と呼ばれる一大寺院群があった。 四十九院は固有の寺院をさすものではなく寺院群の総称で、弥十郎ヶ嶽に発して曽地川に注ぐ谷川の両側には 雛壇状の削平地、立派な石垣群が随処に残り、かつての繁栄のほどを偲ばせている。 |