熊按神社は「くまくら」あるいは「くまあん」と読まれ、全国で唯一の神社名である。『延喜式』の神命帳にも記載される古社で、千年以上前にはすでに祀られていたことは疑いないが、正確な創建年代は不明だ。ご祭神は、皇大神・応神天皇・雨児屋根命・上筒男之命・熊野久須毘命ほかで、神社調書には主祭神の皇大神を熊按大神とし、天照大神であると記している。熊按神社が鎮座する春日江は古くは田半滝(多波滝)村といったが、正慶2年(1333)に奈良より春日明神を勧請のうえ氏神としたことから春日江と改めたと伝えられる。一説には、そのころ熊野神社がここにあって、そこに春日神社が合祀され、熊野の野の草書体が書き間違われ「熊按」になったともいう。その傍証として、江戸時代の『篠山封彊志』や『丹波志』などには、二之坪村の熊野新宮神社との間に混乱がみられる。
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