篠山の歴史・見処を訪ねる-59


六本柳








一条天皇の御宇(986〜1011)、大江山の酒天童子討伐を命じられた源頼光は、碓井貞光、卜部季武、渡辺綱、坂田金時、藤原保昌の五名の武士を引き連れて丹波の大江山に向かった。現在の上宿に通りかかった一行は、宝塔山をはじめ三岳連山の修験道諸寺院を遙拝し、戦勝を祈願した。そして、それぞれが持っていた柳の杖を突き差すと、神仏の加護の顕われか六本とも芽を出し、大きく成長したという。頼光が酒天童子を退治して、都に凱旋したことは説話の語るとおりである。いま、国道372号線を京方面に向かって走ると、旧道と新道が交差する交差点の右側に柳の大木が一本立っている。六本柳を大正四年(1915)に補植したうちの一本が残ったもので、頼光伝説をいまに伝えている。