篠山の歴史・見処を訪ねる-44


大売神社







陶製の狛犬、高さ40cmくらいの大きさで可愛らしい

大売神社は延喜式内社九座七社の一つで、篠山鳳鳴高校前の城北交差点北方にある寺内集落のさらに北方、昼目谷に鎮座している。祭神は「大賣霎(おおひるめのむち)」といい、天照大神である。天照大神は「天照大日霎尊(あまてらすおおひるめのみこと)」とも呼ばれ、そのなかの「大賣霎」を抜き出したものだ。他方、太玉命の子で天照大神に奉仕した大宮売命を祀っているとする説もある。戦国時代、八上城主波多野秀治が祈願所とし、自ら大般若経350巻を書写して奉納している。江戸時代、常陸国笠間から篠山に転封された松平氏も崇敬を寄せ、田の寄進や社殿の再建などを行っている。
神社の左奥にある小社が元の拝殿で、多紀連山の主峰三嶽に在った修験道場「鳥の堂」を移したものである。また、境内にある「鳥居の袴石」と呼ばれる大石は、知足廃寺の礎石の一つと伝えられている。さらに、本殿東側に無造作に置かれた雌雄一対の砂岩製狛犬は、市内でも最も古い石造り狛犬として文化財指定をうけている。
本殿西側の笠鷺稲荷神社は、五穀豊穣・商売繁盛・家内安全に加えて、おでき解除のご利益があることでも有名だ。笠鷺の笠が瘡蓋の瘡に読みが通じるところから、そのように信じられるようになったようで、神社に奉納された麦藁帽子(おそらく昔は笠であったろう)が奇妙な光景を作り出している。

・写真:市内最古の狛犬(右側のもの)