信濃国-諏訪大社下社



諏訪湖のほとりにたたずむ、古代の香りを漂わせる古社。
 
諏訪大社下社

 
諏訪大社は、建御名方富命と八坂刀売命を祀り、下社と上社とに分かれている。そして上社は建御名方富命を、下社は八坂刀売命を主祭神としている。この秋、下社を訪れてみたところ、下社はまた、春宮と秋宮の二社に分かれていたのである。
これは、下社の祭神である八坂刀売命は、二月から七月まで春宮に鎮座し、八月一日の御舟祭りで秋宮に遷座し、翌二月一日に春宮に帰座されることによるという。神さんも季節によって、暮らしやすいところにおられる、ということだろうか。
ところで、諏訪大社の神紋は「梶の葉」としてよく知られている。そして、下社の紋は足が五本で、上社は四本であるという。ここらへんの変化の付け方も、本支を分けているのではないか、などと思われて面白い。
●神社境内のいたるところに、神紋の「梶の葉」が散見できる



 
諏訪下社の神主家は金刺舎人を祖とし、阿蘇大宮司の阿蘇氏と祖を同じくし、科野国造家から分かれたものと伝えられる。のち武力を蓄え、名字を諏訪と称し、また手塚ともいい、手塚太郎光盛は木曽義仲に従って勇名を馳せた。そして、境内を眺めると、手塚別当金刺光盛が拠ったという「霞ケ城跡」が残っていた。
ちなみに、上社の神主家は本姓が明かではなく、一般に神家といっている。出自については、建御名方命の後裔という説によれば出雲神族の分かれということになる。戦国時代、諏訪を拠点に武威を振るったが、甲斐の武田信玄に滅ぼされてしまった。その後、一族が継いで、近世大名として存続するとともに、諏訪上社の神事も司った。
●諏訪の御柱/●春宮の鳥居/●春宮の参道にある橋