越後国-居多神社



代々の越後国司から篤い保護を受けた、越後国の一宮。
 
居多神社

 
 居多神社は越後国の一宮で、祭神は、大国主命・奴奈川姫命・建御名方命・事代主命を祀り上越市にある。上越市は昔、越後の国府があった地で、さまざまな歴史を秘めたところである。国分寺が残り、越後国府に薙がされた親鸞上人が上陸した地でもある。そんな上越市内にある居多神社の周辺は公園としても整備されていて、小さいながらも山中の散策や、広場でバーベキューパーティを楽しむ人たちで賑わっていた。
 神社に参拝すると、以外に小振りな本殿であり、一宮といわれながら華やかさはなかった。しかし、そのことが居多神社の質朴さを感じさせて、好ましい。境内を歩くと、親鸞上人の像があり、末社の石造の稲荷社があった。稲荷社の狐の石像は、細身のリアルな作りであるのが目を引く。また、上越市には親鸞上人にちなむ七不思議があり、居多神社の近くにはその一つである「片葉の葦」があった。居多神社のまわりをブラブラと散策すると、信仰はもとより、自然、歴史などに触れられること請け合いである。
●鳥居から本殿を仰ぐ/●本殿/●本殿内部



 
 戦国時代の英雄の一人に上杉謙信がいるが、上越市は上杉謙信の居城である「春日山城」のあったところでもある。居多神社から車で五〜十分、「春日山城址」がある。謙信縁りの林泉寺、謙信を祀る春日山神社などを見ながら、春日山城の本丸を目指す、直江、柿崎和泉らの部将の屋敷跡、謙信の養子であった景勝、景虎の屋敷跡などが散在している。居多神社とともに、春日山城にはぜひ登っておきたい。本丸址からは、上越市内が一望でき、謙信が信濃その先の甲斐国を望んだ気分を彷彿とさせてくれる。
 上越市からは、高速道路を利用して信濃へはほんの一時間ほどの距離で、戦国時代、謙信はおそらくそのルートを通って川中島へ軍を進めたのだと思うと、車のハンドルを握っていて謙信が軍を進めているかのような気分になる。信州への旅を思い立ったとき、越後側から入るというのも面白い選択かも知れない。
●本殿の全体を見る/●御輿に据えられた神紋/●親鸞上人の像