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京都駅からJR奈良線に乗り継いで稲荷駅を降りると、すぐ目の前に大きな鳥居が見える。そこが伏見稲荷大社である。「お稲荷さん」の愛称で京都人に馴染み深いお神社のひとつであり、古くから庶民の信仰を集め現在全国に約4万社といわれるある稲荷神社の総本社である。 稲荷神社は「抱き稲」が神紋である。稲荷とは「稲生り」のことで、農業の豊作を祈ったものに他ならない。稲荷神社は和銅四年(711)に秦公伊侶具が創建したという古社である。主神は倉稲魂(ウカノミタマ)神で食物の神、すなわち五穀豊穣の神である。そして、祭神を描くとき稲を荷う姿となっていることから稲荷の社名が起こった。 江戸時代になると、武家が屋敷神として祀り、商人が商売繁盛を願って勧請したことから、日本全国に広まった。いまでは食物の神というより、商売の神様としての方が有名になってしまった。 ●鳥居/●楼門/●神使の狐像 |
鳥居をくぐり伏見稲荷に歩くと、楼門をくぐり本殿にたどりつく。楼門には稲荷さんの神紋である「稲紋」がではなく、「菊紋」が据えられている。しかし、境内をそぞろ歩くと「稲紋」をそこかしこに見ることができ、ちょっとホッとする気持ちになる。 境内を奥まで歩いて行くと、奥院に連なる参道に出る。奥院までの道程は「お山めぐり」とも称され、真っ赤に塗られた鳥居のトンネルを小祠や塚を巡拝しながら四キロの道を歩くことになる。山頂にまで続く鳥居のトンネルはまさに圧巻で、稲荷大社を訪問される方には、奥院参拝をぜひお勧めしたい。かくいう播磨屋本人は、むかし奥院へ参拝したことを言い訳として、今回は境内の散策にとどめた。 ●神紋の「稲紋」●奥院へのスタートはここから |