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神社の建築様式


 神社にはそれぞれいくつかの建物があるが、その中心であり、基本となるのは正殿(神殿)である。しかし、神社発生の由来からすれば、はじめは正殿はなく、拝殿の方が先に造られたであろうし、さらに遡れば建物自体は臨時的に設けられたもので、後世のような常住の社殿はなかった。それが、人間に住居が営まれるのと同様に、大切な神に対しても住居が必要という考えが生れ、神を奉安する正殿(神殿)が造られるようになった。
 神殿の語の初見は『古語拾遺』に「凡そ神殿を造り奉る者は、皆須く神代の職に依るべし」とあるのがそれで、これはカミノミアラカと訓んだものと思われる。古語拾遺は斎部広成が自家の由来を述べたもの(807年撰)で、その神代以来の家職として、斎部の官のものが、御木.アラカの斎部を率い、斎斧をもって木材を伐採し、斎鋤をもって立柱の穴を掘ったと記している。
 神殿の造営について日本書紀神代巻に、「千尋の栲縄を以て結んで百八十紐となす」「柱は則ち広大、板は則ち広く厚く」という記述がある。これは杵築社(のちの出雲大社)のことを記したもので、長い栲の縄で柱を結んだこと、柱は太く高く、板は広くて厚いものが用いられたことを言っている。これが古代の造制であって、延喜式の祝詞のうちに「下つ磐根に宮柱太知り立て、高天原に千木高知りて」という文になった所以である。
 神殿の内部は、御神体を奉安するところや、それに付随するもろもろの造作がなされていた。そして、一般に神社建築の諸様式という場合、それは神殿についていうのであって、神社全体の社殿(舎殿)ではないということである。建築は初期のものは素朴であったことhが勿論であるが、時代とともに発達し変遷した。さらにそれぞれの文化の影響を受け、また仏教寺院のそれを採り入れたりして多様化した。
・摂津住吉大社本殿



●神社建築の様式
・大社造・神明造・八幡造・流造・住吉造・春日造・日吉造・権現造



・大社造(出雲大社本殿)・



・神明造(伊勢神宮正殿)・



・八幡造(宇佐神宮本殿-側面)・



・流造(賀茂御祖神社本殿-側面)・



・住吉造(住吉大社本殿-側面)・



・春日造(春日大社本殿-正面)・



・日吉造(日吉大社西本宮本殿-側面)・



・権現造(大崎八幡神社本殿-側面)・







[資料:日本「神社」綜覧(新人物往来社)/家系(豊田武著:東京堂出版刊)/神社(岡田米夫著:東京堂出版刊)]