森は「神の杜」の意で、古代では神が宿る聖域とされた。林より木がひとつ多い分だけ、こんもりと盛り上がっている。その中に氏神さまを祭った鎮守の森が各地にある。 姓氏の森は中国・四国に多い。大名家の毛利氏も元来は森であった。地名を二字の佳名に改めたさい、茂利、茂里、毛利などを宛てた。森氏は全国で約五十万、毛利氏は約四万の大姓だ。 清和源氏八幡太郎義家の六男義隆が、相模国愛甲郡毛利庄を本拠として森冠者と称した。その孫頼定が森五郎を名乗って美濃へ移った。その後裔が戦国武将の森可成といわれる。この森氏の本拠と同じが相模国愛甲郡毛利庄を鎌倉時代に領したのが、大江広元だ。これが安芸・長門の大守毛利家の祖となった。 その他の森氏では、近江国愛智郡森の佐々木氏族六角氏庶流、紀伊国名草郡の豪族忌部宿禰の流れ、豊後国玖珠郡森の清和源氏帆足氏族などがある。 家紋は鶴丸、対い鶴、亀甲、稲穂丸、森の字などがある。
●左から/向う梅・亀甲に梅・対い鶴・丸に鶴の丸・三つ立ち軸違い銀杏 |