拾い話
天下の大姓"鈴木"氏の家紋



 世界で一番名字の多いのが日本。その日本のなかで、ずばぬけて多い名字が「鈴木」で、二百万人とも。
 鈴木の来歴は、気が遠くなるほど古い。「古事記」や「日本書記」などの神代説話のなかに、すでに登場している。始祖、饒速日命五世の孫、千翁命の血脈をうけ、熊野神に稲穂を捧げて穂積の姓を賜った鈴木氏は、以来熊野三党(宇井・鈴木・榎本)のひとつとして、勢威大いにふるったと古書に伝える。
 熊野三千六百峰の大山塊から発した熊野大権現の社家・鈴木氏、のち紀州の藤白の地に移り、日本諸国に散在する「鈴木」の総本家となった。家紋は「稲穂丸」、替紋は「藤の丸」、幕紋は「熊野烏」であった。
 この熊野鈴木氏の末裔は、諸国各地でさまざまな誕生をみせ、その家紋もまた多種多様なひろがりをみせている。 熊野大権現の神鴉、三本足の熊野烏をはじめ、

稲 烏 三本足の烏 藤 下り藤 上り藤 鈴 亀甲
雁金 蔦 撫子 なぎ 酢漿草 杉 三本杉 巴 三つ巴
洲浜 幣 藤丸に木の字 榊 桔梗 菊水 唐花菱



・左から:稲穂丸/下り藤/三本足の烏/洲浜

などなど、まさに多種多様である。
 「稲」は熊野神に稲穂を捧げて、穂積の姓を賜った故事による。「藤」は熊野三山の初代長官・熊野別当の藤原氏のゆかり。「なぎ」の紋は、熊野大権現の神木。「鈴」は熊野神を迎え先導するとき、聖なる木に鈴をつけ、その音で魔を払ったという。「烏」は熊野神の使者として仕え、牛王宝印として刷られ、熊野起請文として史上有名。「洲浜」は、熊野三山の奥の院とされる玉置神社の神紋である。このように鈴木氏ゆかりの家紋は、いずれも熊野に発したものが多い。
 この鈴木総本家で、有名なのは源義経に仕えて働いた鈴木重家、その弟亀井六郎重清、奥州平泉に下る途中、 病のため三河の地にとどまった兄弟の伯父鈴木重次がいる。重次は、のちの徳川譜代三河鈴木党の祖となった。 このほか戦国時代に雑賀鉄砲衆をひきいて紀州に勢力をもった、雑賀孫市がいる。孫市、本姓は鈴木、陣幕紋は熊野烏、 三本足の烏であった。
………
[資料:歴史読本432号]



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